【貸ギャラリー】陸前高田アーティスト・イン・レジデンスプログラム2013-2015展覧会

投稿日:2016.01.13

陸前高田におけるアーティスト・イン・レジデンスプログラム(陸前高田AIR)は、2013年初冬よりスタートし、今年で3年目を迎えました。本プログラムは海外から日本へ、そして東北へ思いを寄せるアーティストが地域に滞在し、人々の生活に寄り添いながら、大切な記憶を拾い上げ、記録し、伝えることを目的とした活動です。これまで海外からの滞在アーティストによるリサーチ、制作、交流を中心に、東北各地でアートを軸とした活動を行なう個人や団体をつなぎ、各地での現状を共有し、今後の運営について考える「陸前高田ミーティング」等のプログラムを実施して参りました。

震災からすでに5年が経過し、人間の尊厳の基盤であり、また、生きる喜びの源となる、なりわい、生活、そして文化といった領域における復興と新たな創造がますます求められるようになっていると感じています。
この度の展覧会では、本AIRプログラムの3年の節目に合わせ、陸前高田を訪れた計7名の海外のアーティストの活動と、1組の陸前高田に縁のある日本のアーティストの作品を紹介いたします。映像や音楽、写真、そして伝統と現在をつなぐ踊りを媒介としながら、物理的には失われた、あるいは目に見えない人々の思いや物事を訪ね歩き、視覚あるいは身体での表現を試み、小さな記憶を残していく活動は、非常にささやかではありますが、3年間の蓄積となってある姿となって見え始めてきました。今を生きる人々の姿と、それぞれの未来を見つめる機会となれば幸いです。

2016年2月3日(水)〜2月14日(日)午前10時〜午後5時 月曜休館 観覧無料
塩竈市杉村惇美術館 市民ギャラリー1・2

イベント
■トークセッション「生きること―記録と記憶のあいだ」
甲斐賢治(せんだいメディアテーク企画・活動支援室長)×日沼禎子(女子美術大学准教授、陸前高田AIRプログラムディレクター)
2月11日(木・祝) 14時〜15時30分 会場:塩竃杉村惇美術館大講堂 参加無料

■ショーネッド・ヒューズ 踊りのワークショップ
2月7日(日) 14時〜16時 会場:塩竈市杉村惇美術館大講堂 参加無料

過去3年間に渡り、陸前高田AIRに参加しているダンサー・振付家である、ショーネッド・ヒューズによる踊りのワークショップを開催いたします。今回のワークショップでは、日常の行なっている動作・記憶から、どのようにダンスを創作するのかという、振り付けを考えるプロセスを体験して頂くことと、東北の伝統芸能のリサーチで出会った住田町柿内沢鹿踊の練習法のひとつ「口唱歌(くちしょうが)」を体験して頂くことの2つを考えています。口唱歌とは、太鼓のリズムをオノマトペで覚える楽譜のようなもので、それを基本にして踊りを覚えます。
どちらの内容も、子供から大人まで、性別、ダンス経験者・初心者関係なく参加いただけます。
お申込:メール(担当:松山)

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【アーティスト】
Leo van der kleij (レオ・ファンダークレイ)

オランダの写真家。出身地であるオランダのデン・ハーグの人々のナイト・ライフやコンサートを撮影することから始まり、1977年以降は日本とヨーロッパの炭坑を撮影したシリーズを制作。1997年以降は何度も来日し、アーティストの川俣正とも共に活動。また北九州、東京にて人々の日常の生活を撮影するDaily Lifeシリーズをスタート。陸前高田AIR2013では、日常の生活を写真で記録した「陸前高田の日常2014」を制作。

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Jaime Jesus C.Pacena Ⅱ(ハイメ・ヘスース・C・パセナ2世)

フィリピンのマルチメディアアーティスト。映像作家であると同時に、キュレーター、教師としても活動。ミュージックビデオで受賞歴があるほか、いくつかの美術館で教育ビデオも制作している。2010年の国際交流基金による「21世紀東アジア青少年大交流計画」、2011年のアサヒアートフェスティバルの研修・シンポジウムにも参加。陸前高田AIR2013では、人々からポストカードにメッセージを集めるプロジェクト、映像作品、地元のミュージシャンとコラボレーションしたミュージックビデオを制作。

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Tawatchai Pattanaporn(タワチャイ・パッターナポーン)

タイの写真家。フィルムのモノクロ写真のスペシャリストであり、また暗室での現像やプリントワークを得意とする。フィルム写真の保存、写真記事のライターでもある。社会の多様性と複雑さを、写真を使い提示する。2014年、バンコクの中心にスタジオを創設し、伝統的なアナログ写真に専念している。陸前高田AIRには、2014-2015年に参加し、大規模な工事現場を撮影したシリーズと、地元の人々のポートレイトを撮影したシリーズを制作。

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Cornelia Konrads(コーネリア・コンラッズ)

ドイツの彫刻家。彼女の興味は主に、サイトスペシフィックなインスタレーションを制作することにある。また彼女は情熱的な旅行者であり、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、アメリカでのたくさんの展示や滞在、コミッションワークの経験を持っている。彼女の作品制作は常に、その場所にある環境、建築、地形、植物、歴史との対話から考えていくところから始まる。陸前高田AIR2014では、松生芭蕉の句からインスピレーションを得た写真シリーズと、拾い集めた陶器の欠片をつなげて大きな彫刻作品を制作するアイデアを考えた。

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Angkrit Ajchariyasophon(アンクリット・アッチャリヤソフォン)

タイのアーティスト、そしてレストランとギャラリーの経営者でもある。彼の芸術の手法は、色々な素材を使った彫刻や、ドローイング、写真や抽象絵画などを行き来している。2013年にSingapore Art Museumで開催されたシンガポールビエンナーレの ‘Satanni’、2011年のthe Bangkok Art and Cultural Centreで開催された’Chiang Mai Now!’等ではキュレーターとして活動。陸前高田AIR2015では、陸前高田に初めてのギャラリーを一日限定でオープンするというアイデアを考え、市民と共に1000枚の虹の絵を展示。

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Katrin Paul(カトリン・パウル)

ドイツのヴィジュアル・アーティスト。近年彼女の興味は紙にあるが、写真もまた、彼女の創作活動に重要な役割を担っている。紙などの自然の素材を、引っ掻く、擦る、磨く、汚す、等の行為を通して、偶然と計算、創造と破壊、繰り返しと始まり、などのプロセスを表現している。陸前高田AIR2015では、人々が使用した米のとぎ汁とお茶の出がらしを収集し、紙に痕跡を残す作品と、陸前高田の土を用いたドローイングを制作。

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Sioned Huws(ショーネッド・ヒューズ)

ウェールズのダンサー・振付家。2008年より、津軽手踊りと民謡を学び、それらの要素を取り入れたダンスを創作する「青森プロジェクト」を開始し、現在も継続中。彼女の作品は、その振り付けの構成の中で、知覚、記憶、個人、場所に焦点を当てている。
陸前高田AIRでは2013−2015年に参加、陸前高田のみならず、青森、いわき市、住田町のリサーチを行い、地域にある踊りを通じて人々と対話を行い、現代における踊りの可能性を模索する。また2015年より、ARTizanとともに、国際ダンス交流プロジェクト「Odori-Dawns-Dance」を開始。

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また、上記のアーティストの作品の他に、陸前高田AIRのその他の活動や、プログラムに関連したアーティストの作品も展示する予定です。

主催:陸前高田アーティスト・イン・レジデンスプログラム2015(なつかしい未来創造株式会社)
助成:平成27年度 文化庁 文化芸術の海外発信拠点形成事業、企業メセナ協議会GBFund(東日本大震災芸術・文化による復興支援ファンド)、公益財団法人セゾン文化財団
協力:女子美術大学アートプロデュース表現領域研究室

開催期間
2016年2月3日〜2月14日
時間
10:00〜17:00
場所
市民ギャラリー1・2
協力
女子美術大学アートプロデュース表現領域研究室
問い合わせ先
http://rikuzentakataair.com/