レポート:Voyage Live Program「風景を描く音」
投稿日:2016.06.27
美術館ボランティア・JUNBIサポーターの坂爪奈央子さんによる、若手アーティスト支援プログラムVoyage「日々是好日 ー根づくもの 脈々と」のレポート、今回はVoyage Live Program「風景を描く音」についてまとめていただきました。
日々是好日の展示と関連して大講堂で開催されたこのイベントは、鈴木祥太さんと浅野友理子さんの作品とコラボレーションした音楽イベントということで、どんなライブになるのだろうと以前から楽しみにしていました。ライブ会場に入ってまず初めに目に入ったのは、3枚のパネルからなる浅野さんによる「トチを食べる」という大作。今回この会場でだけでお目にかかれるということで大講堂が特別な空間に感じられました。
EARLY CROSSさんはボーカルのMelさんが鈴木さん作の植物モチーフのアクセサリーを身に着けての登場で、とてもお似合いでした。Melさんが曲と曲の合間に何度も「鈴木さんのアクセサリーが素敵!」、「とても気に入っています。」と嬉しそうにお話されているのが印象的でした。ノスタルジックな音色を奏でるアコーディオンやギター、強弱のあるドラム演奏など様々な楽器を演奏しながらも決して雑多ではなく、6人の息がぴったりと合っていてとても丁寧に音楽作りをされていることが演奏から伝わってきました。
普段はもっと激しい轟音で演奏されるというEARLY CROSSさんですが、今回はアコースティックバージョンということで貴重なライブとなりました。
ササキゲンさんによるソロプロジェクトKUDANZさんは、宮城在住のピアニスト次松大助さんとの共演でした。ピアノの前に置かれた鈴木さん作の植物の健気な佇まいが印象的でした。KUDANZさんの優しい歌声と時折意表を突く歌詞、そして次松さんののびやかなピアノに真剣に聴き入っていました。お二人は普段から一緒に作品を作り、ライブもされているそうで、和やかな空気がこちらまで伝わってきました。
夕方のライブということで、大講堂の外から聞こえてくる鳥のさえずりや虫の音、焚かれていた蚊取り線香のどこか懐かしい匂いなどもKUDANZさんの音楽に合っていて、夏の訪れを聴覚、視覚、嗅覚で楽しめた平和な午後のひと時でした。