歴史的建造物探訪『勝画楼の記憶から』印刷物

投稿日:2022.02.01

お知らせ

 

『歴史的建造物探訪』とは、芸術を通じて塩竈の歴史的建造物に焦点を当て、歴史や文化の新たな読み解きを目的としたプログラムです。

昨年度の本プログラムでは、アーティストとJUNBIサポーター(当館ボランティア)が協力し、塩竈の歴史的建造物である『勝画楼』をリサーチしました。鹽竈神社の敷地内にあるこの建造物は、増改築を行いながら時代ごとにその役割を変えてきたユニークな存在です。

元々は鹽竈神社の別当寺である法蓮寺の客殿として建てられましたが、廃仏毀釈後は仙台藩主が鹽竈神社参拝の際の御休所として利用され、その後は、明治時代には天皇巡行の際の行在所として、民間への払い下げになると要人たちが集う料亭として、戦後には結婚式の披露宴会場としてなど、姿や機能を変えながらも勝画楼はいつの時代にも地域の重要な場所であり続けました。しかし昭和40年代ころからは段々と利用もなくなり人々の記憶からも消えつつあります。(現在は立ち入り禁止となっています)

近年、市やNPOによって勝画楼の専門的な調査は行われておりますが、このプログラムでは芸術というアプローチから従来とは違った角度でこの歴史を眺めることにより、アーティストが制作したイラストや文章とともにより新鮮に、特に若い世代を対象として、地域の貴重な文化である勝画楼について知っていただけるように印刷物を発行しました。市内の中学校へと配布するほか、美術館でも無料で差し上げておりますので、ご希望の方は塩竈市杉村惇美術館までお越しください。 印刷物はなくなり次第配布終了になります。

 

【印刷物の紹介】

『きつねの燈灯』 文章・絵=田中望(画家)

勝画楼の歴史を特徴となる5つの時代へと区切り、各時代についての様子を、書籍の引用や田中自身の考察、人々からのヒアリング等の文章によって記述するとともに、それぞれの時代を象徴する一場面をモノクロームの墨絵にて描いた。絵の中では登場人物は狐の姿をしており、これは塩竈の民話のいくつかに狐が出てくることや、日常からその存在が忘れられているそのような場所で、狐たちが在りし日の出来事を演じている、という着想からきている。

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『space:reimagined. 新たに想像される空間』 

文章・絵=デロスアンジェルース サット /  日本語翻訳=坂爪奈央子 ※共にJUNBIサポーター

人々から収集したインタビューの話を中心としながら、今はもう直接的には知ることができない勝画楼の歴史およびその未来を、サット自身が「想像する」ということによって描写したイラストと文章を紹介。文章は英語と日本語の併記のため、日本人、外国人、また英語学習者が楽しんで読める教材のように仕上げられている。

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発行:塩竈市杉村惇美術館
協力:志波彦神社・鹽竈神社、塩竈市教育委員会、NPO みなとしほがま チルドレンズ・アート・ミュージアムしおがま実行委員会、佐々木信行 佐藤健太郎、藤日出子(敬称略)
印刷物のデザイン:松山隼