【7/18〜】Voyage2026 あるがあく展「木漏れ日蒐集」

投稿日:2026.06.21

企画展
あるがあく≪木漏れ日蒐集 Luminous Trace≫ (2026) 290×385mm 木版画・シルクスクリーン

 

 

若手アーティスト支援プログラムVoyage2026

あるがあく展「木漏れ日蒐集」

 

本プログラム11回目の今回は、公募により選考された版画家・あるがあく、アーティスト・松田ハルをご紹介します。

 あるがあくは、主に木版画の制作を通して、目に見えない「揺れ動く感情」を視覚化し表現することを試みています。木版画は図柄を版に彫り起こし、紙に摺り取るなどの工程を経て制作します。それらを繰り返して生みだす版の重なり、かすれやにじみなど木版画特有の性質とシルクスクリーンを組み合わせることで、人の複雑な感情を表現しています。近年取り組むシリーズ「木漏れ日蒐集」では、木漏れ日の一瞬のきらめきや光と影をとらえながら、木漏れ日の揺らめきに人の感情の揺れ動きを重ねあわせています。
 祭り行事や市民活動が盛んな塩竈の地は、多賀城市出身のあるがにとって人々の喜怒哀楽さまざまな感情に触れることができる地であると言います。特に鹽竈神社は、人々の思いが繰り返し向けられる場であり、人生の過程において人々が思いをこめて集い、感情の揺らぎが集まる場所と言えます。今回あるがは、人生の転機に抱いた祈りや願いなど多様な感情が集まる神社でも木漏れ日を採取し、新作を制作しています。幾重にも重なる木漏れ日の揺らめきに感情を投影しながら、私たちの日々のさまざまな感情を肯定するひとときとなれば幸いです。

2026年7月18日[土]~9月6日(日)

月曜休館(7/20は開館、翌日休館)
 
塩竈市杉村惇美術館 企画展示室1
開館時間:10時~17時(入館受付は16時30分まで)
観覧料/企画展+常設展セット(団体割引料金/20名以上):
一般500円(400円) 大学生・高校生400円(320円)
中学生以下・メンバーシップ会員無料

※各種障がい者手帳を提示された方は割引。
 

主催:塩竈市杉村惇美術館  共催:塩竈市
後援:河北新報社 朝日新聞仙台総局 毎日新聞仙台支局 読売新聞東北総局
   tbc東北放送 仙台放送 ミヤギテレビ khb東日本放送 エフエム仙台
   BAYWAVE78.1FM 宮城ケーブルテレビ株式会社 仙台リビング新聞社

 

若手アーティスト支援プログラム「Voyage」は、これからの活躍が期待される若手アーティストの可能性に光をあて、新たなステップを提供することを目的に、展覧会を中心としてトークやワークショップなど多様な表現の機会を設ける事業です。これまで、多くの人々にとって新たな才能や感性と出会える場となるよう毎年度ごとに異なる作家と共に取り組んできました。展示制作にかかる費用の一部のほか、企画や広報などに関する支援を通して、地元にゆかりのある若手アーティストの意欲的な表現活動をサポートし、発表の場を提供します。今年度の特別審査員は、小田原のどか氏(彫刻家・評論家・出版社代表)、鹿野 護氏(デザイナー・東北芸術工科大学教授)、服部浩之氏(キュレーター・国際芸術センター青森館長)です。

 
 
問合せ:塩竈市杉村惇美術館
〒985-0052 宮城県塩竈市本町8番1号
TEL 022-362-2555/FAX 022-794-8873

 


 

関連企画

ギャラリートーク あるがあく・松田ハル

2026/7/18[土]14時〜(60分程度)企画展示室
作品解説等、作家によるギャラリートーク。
※要展示観覧料(メンバーシップ会員・中学生以下無料)。予約優先
申込みはこちらから

 


 

木版画ワークショップ

2026/8/22[土]13時~16時 講習室

事前申込制・定員15名(小学5年生以上)、参加費1,000円
【申込みは7月18日(土)10時〜ホームページまたはお電話にて】

 


 

 あるがあく≪komorebi shu shu 25-15≫ (2025) 495×350mm 木版・シルクスクリーン

 

 

あるがあく(ARUGA Aku)
版画家。1987年宮城県多賀城市出身、在住。2011年東北芸術工科大学芸術学部美術科洋画コース版画専攻卒業。木版画やシルクスクリーンなどの版画技法を用いて、揺れ動く感情を表現する。日常に起こる内面の変化と、それらを抱えながら生きる人々に注目し、日々の営みの肯定を試みる。2016年より仙台美術研究所版画講座講師。2022年より多賀城市にて版画工房ギャラリー「在るprint studio」を主宰。美術鑑賞と創作の場を提供している。
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特別審査員による講評 ※五十音順、敬称略

小田原のどか(彫刻家・評論家・出版社代表)

これまでにも本公募に応募があり、作品やプランが記憶に残っていたが、今回の審査会で持参していた新作の屛風作品に目を見張った。木漏れ日や景色に寄せてきた関心や技法を研ぎ澄ましつつ、展示方法を大きく展開させ、屛風という持ち運びができる形式をとったことで、作品としての強度が格段に増したと感じた。ポートフォリオで拝見した過去作と比べても、版画技法が洗練され、近年、作品の魅力が増したように思われる。これまで塩竈の地で展開してきたプロジェクトも、ほかの場所では実現できない、杉村惇美術館ならではの関連行事として存分に生かせるだろうと納得するものであった。塩竈に軸足を置いた活動とたゆまぬ制作への努力を高く評価した。

 

鹿野護(デザイナー・東北芸術工科大学教授)

塩竈に暮らし、工房やカフェを拠点に地域と関わり続けてきた姿勢は、作品にも自然に表れている。街の地面や壁、木漏れ日といった日常の光を作品化する行為は、そこに流れる時間や記憶、感情といった形のないものを平面へと定着させる試みといえる。木版画やシルクスクリーンという複製性をもつ技法でありながら、画面には一枚ごとに異なる表情があり、同じように繰り返される日々が、決して同じではないことを静かに示している。何気ない日常そのものが、かけがえのないものであることを感じさせてくれるかのような表現。今回の個展で用いられる屏風形式の展示は、こうした作品の内側へと鑑賞者を導く装置となるだろう。奥行きのある空間を歩きながら、作者の眼差しを追体験することになるはずだ。

 

服部浩之(キュレーター・国際芸術センター青森館長)

この土地に根を張って暮らし、そのなかで表現を紡いでいくことへの強い意思が感じられた。選考時に見た木漏れ日を元にした屏風型版画は、繊細で力強く、美しい。地域に寄り添う作品制作ではその土地の特別な物事に目が向かいがちだが、あるがは当たり前にどこにでもあるものを淡々と捉える。どこにでもあるとはいえ、木漏れ日をうむ木々や陽の光は私たちの生を支える不可欠で普遍的な存在だ。身の回りのいつでも触れられるものを対象とした創造活動は、どんな環境下であっても生を豊かにする表現行為が可能であることを示し、人々を励ましてくれるだろう。ここで暮らすあるがによる木漏れ日の作品群は、今美術館という場において多くの人が出会うべきものであると確信している。



若手アーティスト支援プログラムVoyage2026
松田ハル展「あんせすた〜〜~ず!!! Ancestors of a Virtual Town」