【7/18〜】Voyage2026 松田ハル展「あんせすた〜〜~ず!!! Ancestors of a Virtual Town」
投稿日:2026.06.21
©halmatsuda
若手アーティスト支援プログラムVoyage2026
松田ハル展
「あんせすた〜〜~ず!!! Ancestors of a Virtual Town」
本プログラム11回目の今回は、公募により選考された版画家・あるがあく、アーティスト・松田ハルをご紹介します。
松田ハルは3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)やVR(バーチャルリアリティ)などの技術を用いた作品を制作しています。テクノロジーを駆使した新たな鑑賞体験を創出しながら、「物質と非物質」「現実とフィクション」といった二項対立的なテーマを思考し、複製メディアの歴史を問い直しています。
岩手県陸前高田市出身の松田は、東日本大震災の発生から10年以上を経た故郷の海岸で目にした様々な漂着物が、町や生活の断片であり、見えない過去を想起させる存在に変わっていると感じました。本展ではこの経験と、陸前高田の地で生きてきた自身の先祖の歴史をふまえ、塩竈から陸前高田までの海岸線を辿り、採取した漂着物の欠片を起点に平面、映像作品等の新作を発表します。「現実と記憶、欠落と想像」の間に漂う時間を可視化し、漂着物の断片から土地の記憶を再構成することを試みます。現実と仮想現実、過去と現在を行き来しながら、土地の履歴や人々の歩みに新たな思いを寄せる機会になることを願っています。
2026年7月18日[土]~9月6日(日)
月曜休館(7/20は開館、翌日休館)
塩竈市杉村惇美術館 企画展示室2
開館時間:10時~17時(入館受付は16時30分まで)
観覧料/企画展+常設展セット(団体割引料金/20名以上):
一般500円(400円) 大学生・高校生400円(320円)
中学生以下・メンバーシップ会員無料
※各種障がい者手帳を提示された方は割引。
主催:塩竈市杉村惇美術館 共催:塩竈市
後援:河北新報社 朝日新聞仙台総局 毎日新聞仙台支局 読売新聞東北総局
tbc東北放送 仙台放送 ミヤギテレビ khb東日本放送 エフエム仙台
BAYWAVE78.1FM 宮城ケーブルテレビ株式会社 仙台リビング新聞社
若手アーティスト支援プログラム「Voyage」は、これからの活躍が期待される若手アーティストの可能性に光をあて、新たなステップを提供することを目的に、展覧会を中心としてトークやワークショップなど多様な表現の機会を設ける事業です。これまで、多くの人々にとって新たな才能や感性と出会える場となるよう毎年度ごとに異なる作家と共に取り組んできました。展示制作にかかる費用の一部のほか、企画や広報などに関する支援を通して、地元にゆかりのある若手アーティストの意欲的な表現活動をサポートし、発表の場を提供します。今年度の特別審査員は、小田原のどか氏(彫刻家・評論家・出版社代表)、鹿野 護氏(デザイナー・東北芸術工科大学教授)、服部浩之氏(キュレーター・国際芸術センター青森館長)です。
問合せ:塩竈市杉村惇美術館
〒985-0052 宮城県塩竈市本町8番1号
TEL 022-362-2555/FAX 022-794-8873
関連企画
ギャラリートーク あるがあく・松田ハル
2026/7/18[土]14時〜(60分程度)企画展示室
作品解説等、作家によるギャラリートーク。
※要展示観覧料(メンバーシップ会員・中学生以下無料)。予約優先
【申込みはこちらから】
《Virtual Altar》(2025)1620×1308mm パネルにキャンバス、シルクスクリーン、アクリル絵具
松田ハル(まつだ はる/MATSUDA Hal)
アーティスト。1998年岩手県出身。2021年筑波大学芸術専門学群美術専攻版画領域卒業。2023年京都芸術大学大学院グローバル・ゼミ修了。VRで描いた3Dオブジェクトを版画として定着させ、リアルとバーチャル、Alと人間といった境界を平面へと変換する。また、シルクスクリーン印刷や彫像へのドローイングによって、現実空間にイメージを表出する。進化する技術により拡張された想像力と、変わらない身体との乖離を見つめながら、複製メディアの歴史を遡る。
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特別審査員による講評 ※五十音順、敬称略
小田原のどか(彫刻家・評論家・出版社代表)
記憶と想像のはざまを3DCGの技法で現実化する松田の作品は魅力的であり、歴史が入り混じる場所として海を捉えることで発想された展示プランは、海での拾得物を主題のひとつとし、この拾得物を記憶と想像の断片として提示するという説得的な内容であった。この提案の核心にあるのが、2011年の東日本大震災である。3.11から15年が経った2026年に被災地であった塩竈の地で開催する展覧会としての社会的意義とともに、公的な記憶と私的な記憶のあわいを松田だからこそ実現できる表現によって作品化し、これを公立美術館という機能を介して展開させる可能性に大いに期待し、評価した。
鹿野 護(デザイナー・東北芸術工科大学教授)
震災は我々から多くのものを奪った。しかしその欠落こそが物語れる歴史があり、それは観客の心の中、想像力にあるという。彼の作品は、その想像の起点を海岸に流れ着いた小さな「かけら」に見出している。失われた生活の痕跡は、断片として集められ、デジタル技術によって再び形を与えられ、版画という物質的な表現へと変換される。テクノロジーを横断するこの表現は、私たちがまだ読んだことのない新しい物語を立ち上げるための方法だ。今回の個展制作では、3DスキャンやVRモデリングなど様々なメディア技術が用いられる。だからこそ、言葉だけでは語りきれず、モノだけからも読み取れない、幾層にも重なった豊かな物語が浮かび上がってくるはずである。
服部浩之(キュレーター・国際芸術センター青森館長)
松田はVR空間で絵を描きそれを版画技法を用いて定着するバーチャルな場と現実のマテリアルを往来する作家だ。そんな松田は陸前高田に生まれ少年時代に震災を経験し、海辺に流れ着く漂着物に関心を寄せる。近年は、長いあいだ海を漂い角がとれて丸くなった建材や陶片、タイルのような震災の記憶を留めるものが東北沿岸に多数打ち寄せられており、松田はそれらを集めているという。これら角がとれた破片は柔和で色彩に富み美しいものだが、かつてあった災禍と生活を伝えるもので、物質としてもリアルな存在感を備える。仮想空間を積極的に漂い制作を続けてきた松田が一体どのようにこのような歴史と記憶を備えた物質たちを扱うのか簡単には想像ができず、その実現をぜひ実見したいと強く惹かれた。
若手アーティスト支援プログラムVoyage2026
あるがあく展「木漏れ日蒐集」