若手アーティスト支援プログラムVoyage 鈴木史 個展「Miss. Arkadin」

投稿日:2022.07.01

企画展
『未来への抗議』©︎2021 FUMI SUZUKI

 

若手アーティスト支援プログラムVoyage2022

鈴木史 個展「Miss. Arkadin」

 

本プログラム8回目を数える今回は、公募により選考された映画監督・美術家・文筆家の鈴木史と、ビジュアルアーティストの工藤玲那をご紹介いたします。

鈴木は大学在学中から自主映画の制作を始め、現在は映画と映像インスタレーションの制作を行っています。自身の経験に深く根ざしたジェンダーへの意識に基づき、社会的に多くの人々とは異なるとされる自身の存在への理解を求めるその作品は、ジェンダーにまつわる思考を喚起します。
本展では「見られること」をコンセプトに、Miss. Arkadin(ミス・アーカディン)という名の女性を仮に自身が演じ、パーソナルな事柄も含まれる、身の回りの人物との会話風景をもとに作品化。自身のルーツを辿り過去を見つめ、自身が何者であるかを問い直します。本展が、ジェンダーに関する認識が決して他人事ではないものとして考えるきっかけとなることを願います。


 

2022年7月16日[土]ー9月4日[日]

月曜休館
 
塩竈市杉村惇美術館 企画展示室
開館時間:10時~17時(入館受付は16時30分まで)
観覧料/企画展+常設展セット(団体割引料金/20名以上):
一般500円(400円) 大学生・高校生400円(320円)
中学生以下・メンバーシップ会員無料

※各種障がい者手帳を提示された方は割引。
 

主催:塩竈市杉村惇美術館  共催:塩竈市
助成:公益財団法人カメイ社会教育振興財団(仙台市)
後援:河北新報社 朝日新聞仙台総局 毎日新聞仙台支局 読売新聞東北総局
TBC東北放送 仙台放送 ミヤギテレビ KHB東日本放送 エフエム仙台
   BAYWAVE78.1FM ケーブルテレビマリネット 仙台リビング新聞社
 
若手アーティスト支援プログラム「Voyage」とは、これからの活躍が期待される若手アーティストの可能性に光をあて、新たなステップを提供することを目的に、展覧会を中心としてトークやワークショップなど多様な表現の機会を設ける事業です。これまで、多くの人々にとって新たな才能や感性と出会える場となるよう毎年度ごとに異なる作家と共に取り組んできました。展示制作にかかる費用の一部のほか、企画や広報などに関する支援を通して、地元にゆかりのある若手アーティストの意欲的な表現活動をサポートし、発表の場を提供します。
今年度の特別審査員は、石倉敏明氏(人類学者・秋田公立美術大学大学院准教授)、小田原のどか氏(彫刻家・評論家・出版社代表)、三瀬夏之介氏(日本画家・東北芸術工科大学教授)です。
 
 
問合せ:塩竈市杉村惇美術館
〒985-0052 宮城県塩竈市本町8番1号
TEL 022-362-2555/FAX 022-794-8873

本企画は手指の消毒や換気、三密を避けるなど、新型コロナウイルス感染拡大防止対策をして行います。また、ご来館の方にはマスクの着用をお願いしています。今後の状況次第ではオンラインでの実施など、内容が変更になる場合があります。変更がある場合は当館ホームページ、SNS等でお知らせいたします。


関連企画

ギャラリートーク 鈴木史・工藤玲那

2022年7月16日[土]10時30分 企画展示室
作品解説等、作家によるギャラリートーク。
※要展示観覧料。要予約(定員15名)
申込みはこちらから
 


鈴木史監督作品上映会+ トーク 小田原のどか × 鈴木史


『未来への抗議』©︎2021 FUMI SUZUKI

 
鈴木史(すずき ふみ/Fumi Suzuki)
映画監督・美術家・文筆家。1988年宮城県塩竈市出身。映画美学校フィクションコース修了後、映画美術スタッフとしての活動を経て、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域修了。現在は、映画の制作だけでなく、インスタレーション作品も発表しており、映画と美術のフィールドを横断しながら活動。映画評の執筆も行っている。 https://fumisuzuki.studio.site/

「Die Erde gefällt uns nicht. Wir möchten wieder nach Hause. / 我々は地球が嫌いだ。家に帰りたい。」展示風景

 
【個展】
2020年「Die Erde gefällt uns nicht. Wir möchten wieder nach Hause. / 我々は地球が嫌いだ。家に帰りたい。」(IN SITU/愛知)

【グループ展】
2020年「プレイルーム」ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校最終成果展(ゲンロンカフェ/東京)
2019年「摩訶神隠し」ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校グループ展B(五反田アトリエ/東京)

【主な映画作品】
『未来への抗議』(2021)
『暗い部屋の記憶』(2019)
『ある絵画』(2017)
『東は東、西は西』(2017)
『eclipse』(2014-2017)

【主な執筆活動】
映画『バンビ:ある女の誕生』評(NOBODY)
映画『都市とモードのビデオノート』評(NOBODY)
映画『二重のまち/交代地のうたを編む』評(NOBODY)
映画『リトル・ガール』評(NOBODY)
「とびっきりゴージャスな芋」(web magazine「Filmground」)

【受賞】
2020年 ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校 審査員特別賞(岩渕貞哉賞)
2018年 モンゴル放送メディア芸術大学映像祭「アンフニー・ブテール」グランプリ
 
 
■特別審査員による講評 ※五十音順、敬称略

映画とインスタレーションによる表現を通して、鈴木は過去に一度断ち切ったという、自身の過去を知る人びとが暮らす故郷・塩竈にまつわる記憶や、自己を取り巻く様々なものたちと出会い直す構想をしめしています。オーソン・ウェルズの映画『アーカディン氏』の登場人物が呟く「私は私が何者かわからないのだ」という独白のように、鈴木は自身の過去と故郷への深い忘却の認識からこの構想をはじめます。しかし、その構想は映画『アーカディン氏』の結末を超えて、偏見や拘束をもたらす未来に抗議し、自己の実存的な記憶と土地との関わりを更新し、新たな現実を生み出す生成の政治へとひらかれています。過去と未来、見るものと見られるもの、他者と自己、男性と女性といった二項対立的設定に収まりきらない、繊細で鋭い人間=世界生成のビジョンに深く共感します。
石倉敏明(人類学者・秋田公立美術大学大学院准教授)

実のところ、応募プランの書類を見た限りでは、精度の高い展示が実現できるのか未知数である、というのが最初の印象であった。というのも、鈴木は映像作品の制作を主軸にしており、上映ではなく展示形式で作品を見せることについては、他の応募者に比べて多くの経験を有しているとは言えないと思われたからだ。しかし、面接審査において、塩竈市杉村惇美術館を会場に展示を行うことに対しての動機と必然性を知り、「若手アーティスト支援プログラム」のおそらくは一番の力点である「支援」は、鈴木の応募プランにこそふさわしいものであると、応募案への第一印象を改めた。見る/見られる、秘密をあかす/あかされるという映画史に立脚した展示プランを、映画としてではなく展示という実空間へと敷衍し、創造的に読み替えんとする鈴木の提案が、ほかのどこでもなく杉村惇美術館で実現されることを心から支援したいと思い、評価した。
小田原のどか(彫刻家・評論家・出版社代表)

プレゼンテーションを聴きながら、このプランが発する「いま、ここ」でやるべきだという強い動機と切実さを感じていた。自分を調査させるという超越的な視点を用いて、自身の過去、ルーツ、現在を直視する態度には、強い自己開示への欲望と恐怖がせめぎあっているように見える。とある女性の調査報告書を覗き見るように展示会場をめぐるうちに、愛憎でこんがらがった糸はほぐれていくのだろうか?鈴木が今住まう東京と、故郷塩竈をつなぐ小さな糸が見つかるといいなと思うし、芸術的手段を通して表現されたそれは、いつの間にか「いま、ここ」を離れて、普遍的な私たちの話になるのだろう。
三瀬夏之介(日本画家・東北芸術工科大学教授)



工藤玲那 個展「アンパブリック マザー アンド チャイルド」